1: 白色矮星(東京都) [IN] 2019/12/28(土) 06:51:32.27 ID:g8u9yeF80 BE:306759112-BRZ(11000)
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2019年8月27日にDiscordで配信されたラジオ「居酒屋:でんふぁみにこげーまー」では、
ホスト役にTAITAI編集長と鳥嶋和彦氏、鵜之澤伸氏、そしてゲストにサイバーコネクトツーの松山洋氏と、
集英社の矢作康介氏を迎えて、「漫画はこの先どうしていくべきか?」というテーマについて、大いに語り合ってもらった。
同じ漫画を10年も20年も連載して、それで完結しないお話って何なの!?
松山氏:
ちょっと1つお伺いしたいですけど。『ベルセルク』【※】、ついにキャスカが目覚めましたね。
※『ベルセルク』……三浦建太郎氏により1989年から執筆されているダーク・ファンタジーコミック。
主人公ガッツの親友グリフィスが魔に落ちた「蝕」の際に、女剣士キャスカは凌辱されて正気を失っていたが
、2018年に刊行された第40巻で、ついに意識を取り戻した。
鳥嶋氏:
あんまり関心がない。
松山氏:
ええッ!? 22年ぶりですよ、キャスカ。
鳥嶋氏:
三浦さん本人にも言ったけど、「蝕」以降の『ベルセルク』って、話の展開があんまり好きじゃないんだ。
正直言って、読者として興味がないから、読んでない。ごめん(笑)。
松山氏:
白泉社の方ですよね?
鳥嶋氏:
オレはもう会長で、現場に直接の責任はないから(笑)。
でもね……旬の時に描き切っていなくて、話の流れの中で今ここに来て描くというのは、
ファンにとっては良いかもしれないけど、ほとんどの人にとっては「だから?」って感じがあると思う。
身も蓋もない言い方だけど、同じ漫画を10年も20年もやっちゃダメ。
なぜかというと、週刊誌って年間50冊でしょ。50話だよね。ということは、10年間やったら500話だ。それで完結しない話って何なの?
『ドラゴンボール』と『ナルト』の元担当編集が語る「ジャンプ」の裏側 ―
絶対に敵わない『ワンピース』に勝つために『ナルト』が取った戦略とは【鳥嶋和彦×矢作康介×鵜之澤伸×松山洋】
https://news.denfaminicogamer.jp/interview/191227f
2: 白色矮星(東京都) [IN] 2019/12/28(土) 06:52:09.15 ID:g8u9yeF80
基本的に1カ月に4週じゃない、週刊誌は。だったら4週で1エピソード、サイクルで終えて行かなきゃいけない。
せめて2カ月だよね。それが何カ月も続くと、新しい読者が入ってこれなくなる。
漫画の良さって、誰でも読める、誰でも入ってこられる、いちばん安価な娯楽だから。
それが途中から入っていけない形になってるのは、ビジネスとしてマズい作り方だと思う。
これを言うと、元いた会社批判になっちゃうけど。僕が会社に入った時の野球漫画が読めなかったんですよ。
なぜかというと、ボール一球を投げるのに何カ月もかかってる。冗談じゃないと。
アンケートがあるから、山場をずっと見せたいという気持ちは分かるけど、そこのところを誤解すると、ある種のオナニーになっちゃう。
やっぱり、もうちょっと見たいっていう時に切っていくとかね、どういうふうに読者を意識しながら綱引きをするかを、やらなきゃいけない。
そういう意味で言うと、今は編集者が作家に寄りすぎていて、作家と読者の中間にちゃんと位置していない感じです。
ということで、矢作さんにお返ししましょう(笑)。
矢作氏:
まあでもやっぱり、引き込まれていっちゃうというのはありますね。
あと、これだけの数のお客さんを掴んだら、そのお客さんを楽しませるように作るというのも、1つの考え方になっているかもしれないと思って。
本当に、新しい読者を入れる努力というのは難しくて。
たとえば、雑誌には「このタイミングで売るぞ」というのがあるんです。スゴい作家が新連載を始めるとか。
その時に僕らとしては、ここから読んでくれる読者、新しく入ってくれる読者がいるわけだから、
その新しい読者に向けて、今やってる連載を読んでもらえるようにしなさい、という話をするわけですよ。
でも、これまでの展開とか自分のやりたいことに引きずられていって、そこにきちんとついてこれる作家さんは少なくて。
そんななかで、本当に新しい読者を取り込んでいきたいという貪欲な人は、そこにしがみついてくる。
どんどんと貪欲に行く作家さんもいるし、「もうオレはいいよ」という人もいるんで、そこは一概に言えないところもあると思うんですけど。
5: 白色矮星(東京都) [IN] 2019/12/28(土) 06:54:03.57 ID:g8u9yeF80
『ドラゴンボール』を魔人ブウ編の前に終了できなかったのは、今もって悔いている
松山氏:
だけど私の感覚だと、『ドラゴンボール』の連載は延べ11年、少年編から最後の魔人ブウの戦いまでで、10年ちょっとなんですけども。
『ドラゴンボール』がそれだけ長く続いたことが、その後の『ジャンプ』の漫画が長くなったきっかけになっている気がするんですよ。
それ以降だと、『ONE PIECE』も『NARUTO-ナルト-』も10年以上やってるし、『銀魂』も『BLEACH』もやってるじゃないですか。
そういう長寿連載って、今は『ONE PIECE』以外はだいたい終わりましたけど。
鳥嶋氏:
それはね、オレはもう卒業生だから言っちゃうけど、『ドラゴンボール』は止めたかったのに止めさせてもらえなかったんだよ。
はっきり言うと、僕の前の編集長とその前の編集長の判断だよね。
あの時、僕が『Vジャンプ』にいて、鳥山君を助けてあげられなかったのは、今もって悔いている。
魔人ブウ編はやるべきじゃなかったよね。
どういうことかと言うと、前の編集長と前の前の編集長は、雑誌の部数しか見ていない。
誰が描いていて、誰が支持しているかを見ていない。
お金を払ってるのは読者。描いているのは作家。
会社のためじゃないんだよね、オレたちがやってるのは。
読者のためなんだ。それを忘れちゃうと、ああいうことになる。
それで『ジャンプ』の部数は、『ドラゴンボール』が終わってどんどん落ちた。
結果、僕はそのために『Vジャンプ』から『少年ジャンプ』に戻された。
矢作氏:
怒ってましたね、当時(笑)。「ふざけんな」って。その下につく人たちの気持ち、分かります?(笑)
鳥嶋氏:
ハハハ(笑)。さっき矢作が言った、新人の新連載で表紙にするっていうのは、じつは僕が戻ってからなの。
矢作氏:
そうでしたっけ。そうなんだ。
鳥嶋氏:
それはどうしてかというと、やっぱり戻った時に「『ジャンプ』って何だろう?」って、もう一回問い直さざるを得ないわけ。
ガタガタになっているわけだから。
部数は一見すると、まだ600万部弱ぐらいあるんだけど、この先もう落ちていくのは見えてるし。
引用元: ・元ジャンプ編集長 「同じ漫画を10年も20年もやっちゃダメ。新しい読者が入ってこれなくなる。」